『ぶたぶたくんのおかいもの』

名前で自分を呼ぶころ

長女がまだ小さかったころ、自分のことを「わたし」ではなく「○○ちゃん」と呼んでいました。呼ばれて振り向くときも、何かを見つけたときも、「○○ちゃんね…」と小さくつぶやくように話します。そんな姿がとても愛らしく、どこかこの絵本のぶたぶたくんに重なりました。自分の名前を言いながら歩くあの調子と、娘が自分の名前を口にする様子が似ていて、最初に読んだとき思わず笑ってしまったのを覚えています。

つぶやきながら歩く楽しさ

ぶたぶたくんが「ぶたぶた ぶたぶた」と言いながら歩く場面。そこに現れるカラスやくまも、それぞれの調子で言葉をつぶやきながら進んでいきます。読むたびに、その言葉のリズムが耳に残り、娘も声に出して真似するようになりました。歩きながら小さくつぶやくその調子が面白くて、ページをめくるたびにくすっと笑ってしまいます。

お買い物ごっこがはじまる

物語の中でぶたぶたくんが首にリボンをかけ、お買い物かごを持って出かける姿は、娘の目にもとても魅力的に映ったようでした。ある日、お買い物ごっこをしていたとき、娘はリボンを首にかけ、小さなかごを持って部屋の中を歩きはじめました。そして、どこか得意そうな顔で、ぶたぶたくんのように言葉をつぶやきながら歩いています。絵本の中の世界が、静かに遊びの中へと広がっていく。そんな時間が、何度もこの絵本を開くきっかけになりました。

絵本紹介

『ぶたぶたくんのおかいもの』

さく・え:土方 久功(ひじかた ひさかつ)
出版社:福音館書店

ぶたぶたくんは、お母さんにおつかいを頼まれます。
首に赤いリボンを結んでもらい、小さなかごをさげて、ひとりで町へ出かけていきます。

向かう先は、パン屋さん、八百屋さん、お菓子屋さん。
道の途中では、からすのかあこちゃんや、こぐまくんにも出会います。ひとりで出かけたはずの町歩きが、少しずつにぎやかになっていくところも、この絵本の楽しさです。

ぶたぶたくんたちは、それぞれ歩きながら、思わず口にしたくなるようなことばをつぶやきます。
そのくり返しが、おつかいの道のりを、ただの移動ではなく、耳に残る楽しい時間に変えていきます。

そして最後のページには、ぶたぶたくんが歩いた町の地図。
パン屋さんはここ、八百屋さんはここ、お菓子屋さんはここだったのかと見返していると、物語の中の道がもう一度つながって、ぶたぶたくんたちと一緒に町を歩いた気持ちが残ります。

おすすめの理由

動物たちが町で暮らしている不思議な世界

この絵本の町では、ぶた、からす、くまなどの動物たちが二足で歩き、町の中で暮らしています。首にリボンをかけて出かけるぶたぶたくんの姿も、どこか人の子どものようです。けれど、動物の姿のまま町を歩くその様子は、現実とは少し違う不思議な世界。人の町に似ているようで少し違う、その感覚が絵本の面白さを広げています。

お店ごとに違う人の気配

ぶたぶたくんが立ち寄るパン屋さん、八百屋さん、お菓子屋さん。お店の人たちも、それぞれ雰囲気が違います。並んでいるもの、店のつくり、店主の表情。ページをゆっくり見ていくと、お店ごとの空気が自然と伝わってきます。物語を追うだけでなく、町の中をのぞき込むように楽しめるところも魅力です。

町を歩くように見えてくる風景

ぶたぶたくんは、町の道を歩きながらお店を巡っていきます。道の曲がり方、家や木の位置、店の並び方。ページを見ていると、町の風景が少しずつ頭の中に形づくられていきます。そして最後に現れる地図で、その風景がひとつにつながります。絵を見ながら町を歩くような感覚が残る絵本です。

まとめ

ぶたぶたくんは自分の歩幅で、町の中を進んでいきます。
その歩き方を見ていると、子どもが道を見つけながら歩く姿を思い出すことがあります。

道の先に何があるのか、どんな人に出会うのか。
ページをめくるごとに、小さな発見がそっと置かれていきます。

読み終えたあとも、その町の空気がどこかに残って、またページを開きたくなります。

🤍 この絵本について、ひとこと

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