「うつくしい」の基準が、少しゆるみました
私は絵本が好きですが、自分で絵を描くことにはどこか苦手意識があります。
うまく描ける人と比べてしまい、「美しい絵」とは整った技術のことだと思っていたのかもしれません。
けれどこの絵本は、“うまさ”とは別のところにある美しさへと、そっと目を向けさせてくれました。
絵の向こうに、人がいると気づきました
紹介される画家たちの背景や想いに触れながら絵を見ると、同じ一枚でも、まったく違って見えます。
色や形だけではなく、描いた人が何を感じ、何を大切にしていたのかがにじんでくるように思えました。
絵は作品であると同時に、その人の生き方の表れでもあるのだと感じました。
美しさは、技術ではなく、その人らしさかもしれないと思いました
「うつくしい」とは何だろう。
この絵本を通して、美しさは整っていることではなく、その人の内側にあるものが自然にあらわれた姿なのではないかと思いました。
もしそうなら、年を重ねてきた人の人生そのものも、十分に美しいのだと、静かに思えました。
絵本紹介
『うつくしい絵』
作:かこさとし
出版社:偕成社
この絵本は、名画を通して「うつくしさとは何か」を考える一冊です。
作者のかこさとしさんは、さまざまな画家の作品を取り上げながら、その絵のどこが人の心をとらえるのかを、やわらかな語り口で伝えていきます。
紹介されるのは、時代も国も異なる名画です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》、ゴッホ、ピカソ、北斎など、それぞれに個性のある画家たちの作品が並びます。
その絵が生まれた背景や、画家の生き方、表現の工夫に目を向けながら、美しさは一つではないことを示していきます。
この絵本は、絵を見る目をひらき、「自分はどう感じるか」を大切にさせてくれる、美術への入口のような一冊です。
おすすめの理由
人生を重ねたまなざしでこそ、味わえる一冊だから
この絵本は、名画を通して美しさを見つめ直します。
長い時間を生きてきた人だからこそ、一枚の絵の奥にある背景や、画家の生き方に自然と心が向きます。
若い頃とは違う視点で、「うつくしい」を静かに味わえる本です。
経験そのものが、美しさになると気づかせてくれるから
紹介される画家たちは、順風満帆な人生ばかりではありません。
苦悩や迷い、葛藤を抱えながらも、自分の表現を探し続けました。
その歩みを知ることは、これまで生きてきた自分の時間を肯定することにもつながります。
語り合う時間を生み出してくれるから
この絵本は、絵を見るだけで終わりません。
「あなたはどう思いますか」と自然に問いかけます。
昔見た景色、好きだった色、心に残っている出来事。
一枚の絵をきっかけに、これまでの人生の話がゆっくりとほどけていきます。
贈り物として、対話の時間を育ててくれる一冊です。
贈り方のヒント
絵を見る時間を、ゆっくり贈って
「一枚の絵が、静かなひとときを運んできますように。」
若い日の景色を重ねて
「心に残っている色や光が、やさしくよみがえりますように。」
これまでの歩みに重ねて
「歩んでこられた時間の中にも、美しさがあると感じられますように。」
“うつくしい”を語り合って
「好きな色や思い出を、ゆっくり話せる時間になりますように。」
今日のまなざしを大切に
「いま目にしている世界が、少しやわらかく映りますように。」
まとめ
うつくしさは、整っていることだけではありません。
一枚の絵の奥には、描いた人の時間が流れています。
その時間に目を向けるとき、自分の歩んできた時間も、少し違って見えてきます。
若い日の色や光、重ねてきた季節の重み。
この絵本は、それらをそっと手のひらにのせ直してくれる一冊です。
ゆっくりとページをめくる時間が、今日という日を、静かにあたためてくれますように。
🤍 この絵本について、ひとこと
一文だけでも大丈夫です。
「この場面が好きでした」
「誰かに贈りたくなりました」など、
短い言葉を残していただけたら嬉しいです。


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