『かがみのえほん きょうのおやつは』

鏡の前で、子どもたちの顔が変わる

保育園で読むときも、小学校の図書室で読むときも、最初はみんな少し戸惑います。
「どういうこと?」という顔。そしてページを90度に立てた瞬間、「あっ!」と声があがる。

鏡に映ることで、絵が突然、完成する。

ただ見るのではなく、自分が動くことで絵が変わる。
その体験に、子どもたちの目が一斉に輝きました。

自分が写るのに、自分を見ていない感覚

鏡は不思議です。
自分がそこに写っているのに、どこか他人を見るような気持ちになる。
この絵本も同じで、向こう側に広がるホットケーキを見ながら、自分の顔もそこに映っている。

物語を読んでいるのに、物語の中に入り込んでいるような感覚。
子どもも大人も、少しだけ“外側から自分を見る”体験をしているのかもしれません。

できあがる瞬間の高揚

卵を割り、生地を混ぜ、フライパンに流し入れる。
ホットケーキがふくらみ、焼き色がつき、最後にシロップがとろりとかかる。

ページを回転させながら、完成へ向かう過程を一緒に追いかける。
出来上がったときの満足感は、まるで自分が作ったような気持ちになります。

読み終えたあと、「今日のおやつは何にする?」と自然に会話が生まれる一冊です。

絵本紹介

『かがみのえほん きょうのおやつは』

作:わたなべちなつ
出版社:福音館書店

本書は、鏡の反射を利用したしかけ絵本です。
ページの中央に鏡面があり、絵の半分だけが描かれています。
本を90度に立てることで、鏡にもう半分が映り込み、ひとつの絵が完成します。

物語は、ホットケーキを作る工程に沿って進みます。
卵を割り、材料を混ぜ、フライパンで焼き、最後にバターやシロップをのせて仕上げていく。

鏡を通して絵が立体的に広がるため、ページを動かしながら読む体験そのものが、この本の魅力です。

読み手が本の角度を変えることで、向こう側の世界が現れる。
完成したホットケーキが目の前に現れたように見える、視覚的な楽しさに満ちた一冊です。

おすすめの理由

「あっ!」が生まれるしかけ

本を立てた瞬間、絵が完成する。
見えなかったものが、ぱっと現れる。

自分の動きで景色が変わる体験は、ただ読むだけでは得られない驚きがあります。

思わず声が出る、その瞬間が、この絵本のいちばんの魅力です。

できあがっていく過程が楽しい

卵を割り、まぜて、焼いていく。
ホットケーキが少しずつ形になっていく様子を、鏡のしかけとともに追いかけます。

完成へ向かう流れがはっきりしているので、
次を期待しながらページをめくれます。

出来上がったときの満足感は、まるで自分で作ったような気持ちになります。

ことばをふくらませられる

文章は多くありません。
だからこそ、読む人の声かけで広がります。

「まぜまぜ」「じゅーっ」「ふわふわ」音やリズムをのせると、場の空気がやわらぎます。

鏡に映る世界と、声で広がる世界。見る楽しさと、聞く楽しさが重なる一冊です。

まとめ

この絵本は、鏡というしかけを通して、「見る」ことを体験に変えてくれる絵本です。

ページを立てると現れるホットケーキ。
驚きと発見が、読む人の動きによって生まれます。

作る過程を追いながら、完成の瞬間を一緒に喜べる。

目と体と声が自然に重なる、繰り返し開きたくなる一冊です。

🤍 この絵本について、ひとこと

一文だけでも大丈夫です。
「この場面が好きでした」 「誰かに贈りたくなりました」など、 短い言葉を残していただけたら嬉しいです。

コメント