『くいしんぼうのあおむしくん』

とにかく止まらない

息子や保育園の子どもたちが、何度も「読んで」と持ってきた絵本です。

あおむしくんの食欲は止まりません。とにかく止まりません。食べて、食べて、食べて。

その止まらなさは、見ているだけでどこか気持ちがよいのです。
満たされるというよりも、やりきるような感覚でしょうか。

子どもたちは、その勢いを丸ごと楽しんでいました。

どこまで、なくなるのでしょう

食べ物だけではありません。
目の前のものが、ひとつ、またひとつと消えていきます。

次は何がなくなるのでしょう。どこまでいくのでしょう。

増えていくのではなく、減っていくことで生まれる期待。
ページをめくるたびに、「まだいくの?」という思いが、静かに重なっていきます。

あの一瞬が、忘れられません

最後の場面は、とても印象に残ります。

思わず息をのむような、けれどどこか愛らしい表情。
どうなるのか分かっていても、あの一瞬を見るたびに心が動きます。

大胆なのに、ちゃんと戻ってくる。
その絶妙さが、この絵本の魅力なのだと思います。

絵本紹介

『くいしんぼうのあおむしくん』

作:槇ひろし
画:前川欣三
出版社:福音館書店

まさおの前に現れた、くいしんぼうのあおむしくん。
目の前にあるものを、次から次へと食べていきます。

りんごも、ケーキも、そこにあるものはどんどんなくなっていきます。

食欲は止まりません。
ただひたすら、食べ続けます。

そしてついには、まさおの身にも、その食欲が向かいます。

大胆な展開ですが、物語はきちんと着地します。

食べるという単純な行為を、ここまで徹底して描くことで生まれる可笑しさと爽快感。
そして、最後に残るほっとする余韻。

子どもたちが何度も手に取る理由は、この「止まらなさ」と「戻ってくる安心」にあるのかもしれません。

おすすめの理由

物語の構造が明快で、安心して入り込めます

展開がとてもはっきりしています。
今なにが起きているのか、次にどうなるのかが直感的に伝わります。

ひとつの流れをまっすぐに進んでいく構成なので、物語の世界にすっと入り込み、最後まで集中して楽しむことができます。

繰り返しの中で、想像する力が育まれます

同じ流れが続くからこそ、読むたびに「次はどうなるのだろう」と考え始めます。

自然と先を思い描きながら、ページを見つめています。
自分の中で組み立てながら楽しめる構造が、この絵本の魅力です。

驚きと安心が両立している結末

物語の終盤には、思わず息をのむ場面があります。
けれど、決して置き去りにはしません。

大胆な展開でありながら、読後にはきちんと落ち着く場所が用意されています。

そのバランスのよさがあるからこそ、何度も読みたくなり、手に取り続けられているのだと思います。

まとめ

止まらないものを、止まらないまま描ききる。
それだけのことなのに、読み終わったあと、不思議と軽くなります。

食べるという単純な行為が、ここまで徹底されると、もう清々しい。
また読みたくなる理由は、たぶん、うまく言葉にしないほうがいいのでしょう。

ただ、またページを開きます。

🤍 この絵本について、ひとこと

一文だけでも大丈夫です。
「この場面が好きでした」 「誰かに贈りたくなりました」など、 短い言葉を残していただけたら嬉しいです。

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