できているように、振る舞ってきた時間
いつも全力で向き合おうとする癖があります。
足りないところがあっても、できる側に立とうとしてしまう。
気づけば、少し無理をしていることもあります。
力の配分を、探している途中
ほどよく力を抜く、ということが、思っている以上にむずかしいと感じます。
がんばることは自然でも、力をゆるめるタイミングは、まだ手探りのまま。
今も、自分なりのバランスを探しています。
外から見た姿に、救われること
誰かの揺らぎや足りなさを見たとき、それがその人らしさとして、自然に映ることがあります。
補い合いながら成り立っている場面に出会うと、完璧でなくても、ちゃんと進んでいるのだと感じます。
そんな視点を、自分にも向けられたらと思うことがあります。
絵本紹介
『はんぶんライオン』
文:大原悦子
絵:猫野ぺすか
出版社:福音館書店
長く続けてきた仕事を終え、ぬいぐるみ職人のおじいさんは、店をたたむことにします。
子どもたちが次々にぬいぐるみを連れていく中で、最後まで残ったのは、たてがみが片側だけのライオンでした。
おじいさんは、そのライオンを家に連れて帰り、窓辺に、ほかのぬいぐるみたちと並べます。
そこには、ウマやオンドリ、ネコがいて、それぞれが自分の姿や得意なことを、当たり前のように持っています。
たてがみの足りなさをからかわれながら、ライオンはいくつもの「別の姿」を教えられます。
けれどライオンは、ほかの何かになる道を選びません。
その代わりに、それぞれの得意なことを、ひとつずつ受け取っていきます。
走ること、鳴くこと、身をかわすこと。
体を変えずに、できることだけが増えていきます。
夜、家に忍び込んできた影を前に、窓辺で教わったことが、静かにつながります。
たてがみは片側のまま。
それでも、追い出す力は、確かにそこにありました。
おすすめの理由
比べられる場面に出会いはじめる年齢に
4、5歳になると、友だちと関わる中で、見た目やできることについて、はっきりと言葉を向け合うようになります。
「なんでちがうの?」「それ、変だよ」悪気のない一言が、相手の心に届いてしまうこともある。
この絵本には、そうしたやりとりが物語として置かれていて、子どもたちが日々経験している関係の姿と、自然に重なります。
ひとりで抱え込まない関わり方が見えてくる
物語は、だれかが一人でがんばる形では進みません。
まわりの存在とやりとりを重ねながら、その場をどう過ごすかが描かれていきます。
友だちの得意に触れたり、助けを受け取ったりする姿は、子どもが集団の中で関係を広げていく姿そのものです。
「自分だけでどうにかする」以外の選択肢が、物語の中に見えてきます。
見方を行き来しながら考えられる
5歳頃になると、ひとつの考えに固まらず、別の見方を並べて考える力が育ってきます。
この絵本では、同じことを別の角度から捉えるやりとりが重なり、考えが行き来する時間が生まれます。
ひとつの考えに決めてしまわず、友だちの言葉や出来事をきっかけに、「そういう見方もあるんだ」と考えが動いていきます。
まとめ
友だちと過ごす中で、ちがいに出会ったり、思いがすれ違ったりする場面は、日々の暮らしの中にいくつもあります。
その一つひとつに、すぐ答えを出さなくても、ただ立ち止まって眺める時間があってもいい。
この絵本は、そんな場面を物語としてそっと差し出してくれます。
登場するぬいぐるみたちのやりとりは、同じ場所で過ごす中で生まれる関係そのもの。
読む人は、そこに自分の経験や身近な出来事を自然に重ねていくことができます。
読み終えたあと、心に残った場面や言葉が、また別の出来事とつながっていく。
そんな余白ごと手渡せる一冊として、そばに置いておきたい絵本です。

コメント