視点のするどさに、立ち止まりました
この絵本を読んで、いちばん心に残ったのは、マータイさんの物の見方でした。
大きな問題を前にしても、遠くを見るのではなく、足元の一本の苗木から考えている。
その視点の置き方に、立ち止まりました。
幼い頃の自然との時間が、今につながっているように
読み進めるうちに、マータイさんが幼い頃から自然の中で過ごしてきた時間が、今の考え方につながっているように感じました。
水や木や土とともにある暮らしの中で、自然から受け取ってきたものが、ものの見方を育ててきたのかもしれません。
一本の苗木から、未来を思い描くということ
目の前にあるのは、たった一本の苗木。
けれど、その一本が育つ先には、人の暮らしや、次の世代のことまで見据えた時間があります。
自然の恵みに支えられながら生きていることを、改めて感じさせられました。
自分なら、同じ場面で何を見るだろうかと、考えが残ります。
絵本紹介
『その手に1本の苗木を マータイさんのものがたり』
作:クレア・A・ニヴォラ
訳:柳田邦男
出版社:評論社
この絵本は、ケニア出身の環境活動家、ワンガリ・マータイさんの生き方を描いています。
森が失われ、人びとの暮らしが苦しくなっていく中で、マータイさんは「木を植える」という、とても小さな行動から始めました。
最初は、たった1本の苗木。
けれど、その苗木は、人びとの手から手へと広がり、土地や暮らし、そして人の気持ちを少しずつ変えていきます。
自然を守ることが、生きていく力につながっていく様子が、静かな流れで描かれています。
足元にある自然や、今できることから考えていく。
一本の苗木が、未来へとつながっていく物語です。
おすすめの理由
大きな問題を、身近なところから考えられるから
この絵本で描かれているのは、世界規模の環境問題ですが、始まりはとても身近な「木を植える」という行動です。
遠い国の話として読むのではなく、自分の暮らしや足元の自然と重ねて考えやすいところが、高学年におすすめしたい理由です。
行動の「すごさ」より、見ている視点に目が向くから
マータイさんの活動は大きな成果につながっていますが、この絵本では、何をしたか以上に、どこに目を向けていたのかが伝わってきます。
小さな変化や、自然の声に気づくその視点は、読み手自身の見方を、少し問い直してくれます。
未来を想像しながら読めるから
一本の苗木が育つ時間の先には、人の暮らしや、次の世代のことがあります。
この絵本は、「今」だけで終わらず、その先に続く時間を思い描きながら読める一冊です。
自然の恵みに支えられて生きていることを、静かに感じ取れるところも、高学年にすすめたい理由です。
まとめ
この絵本は、ひとりの人の物語でありながら、同時に、土地や人びとの暮らしの変化を描いた絵本でもあります。
一本の苗木が育つことで、風景が変わり、人の集まり方や、生き方までもが少しずつ変わっていく。その積み重ねが、時間をかけて描かれています。
日々の暮らしの延長として語られているからこそ、読み終えたあとも、物語は静かに続いているように感じられます。
長い時間の流れの中で、人と自然がどう関わってきたのかを、そっと見渡せる一冊です。


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