ページがなかなか進まないほど、見入っていた時間
この絵本は、わたしの子どもたちはみんな好きでしたが、特に上の娘がよく読んでと持ってきました。
一度ページを開くと、細かい描写に目が止まり、なかなか次に進めません。ねずみたちの暮らしの様子や、部屋の中の道具、外の自然を、隅から隅までじっと見ています。「次のページにいってもいい?」と声をかけても聞こえていないようなほどで、その集中している姿が印象に残っています。読むというより、絵の中に入り込んでいる時間でした。
短い言葉と、絵の中に広がる冬の暮らし
『14ひきのさむいふゆ』では、ねずみの家族が冬に備えて過ごす様子が描かれています。
言葉は多くなく、情景を短く伝える程度ですが、その分、絵の中にはたくさんの出来事があります。外の寒さ、家の中のあたたかさ、家族それぞれの動き。描かれていない部分についても、「今、ここでは何をしているのかな」と想像が自然に広がります。声に出していないねずみの気配まで感じられるようで、ページをめくるたびに世界が深まっていきます。
繰り返し読む中で、残っていったもの
このシリーズを何度も読むうちに、娘はますます細かいところに目を向けるようになりました。
もともとそういうところが好きだったのか、この絵本の影響なのかは分かりませんが、小さな変化や見落としがちな部分によく気づくように感じます。一方で、想像をふくらませて楽しむ力は、3人ともそれぞれに豊かでした。
静かであたたかい空気が流れるこの絵本を読む時間は、親のわたしにとっても、気持ちがゆっくりと休まるひとときでした。
絵本紹介
『14ひきのさむいふゆ』
作:いわむら かずお
出版社:童心社
『14ひきのさむいふゆ』は、ねずみの大家族が冬の日を過ごす様子を描いた絵本です。
外では風が鳴り、雪が舞う寒い日。森の中の家では、ストーブが燃え、ねずみたちがそれぞれの場所で過ごしています。
家の中では、おじいちゃんや子どもたちが何かを作り、台所ではおばあちゃんやお母さんたちが手を動かしています。同じ時間の中で、家のあちこちに小さな動きがあり、それぞれの場面が並行して描かれていく構成です。
文章は短く、情景を伝える程度に抑えられていますが、絵の中には多くの情報が詰まっています。家のつくり、道具の置き方、ねずみたちの表情や視線。どのページにも、目を留めたくなる場所があります。
冬の寒さと、家の中のあたたかさ。
その対比が、絵を中心に静かに描かれている一冊です。
おすすめの理由
絵の中に、目をとめる場所がたくさんある
この絵本は、ひとつの場面の中に、たくさんの出来事が描かれています。
ねずみたちの動き、家の中の様子、外の冬の気配。
どこに目が向くかは、そのときどきで違い、ページごとに新しい発見があります。
読むたびに、見えるものが変わっていくところが魅力です。
想像が、自然に広がっていく
言葉は必要な分だけで、細かい説明はありません。
その分、絵を見ながら「ここでは何をしているのかな」「このあとどうなるのかな」と、想像がふくらみます。
見えているところだけでなく、描かれていないところにも気持ちが向いていく。
そんな読み方が、この絵本にはよく合っていると感じます。
落ち着いた時間を一緒に過ごせる
にぎやかさよりも、静かなあたたかさが流れる絵本です。
冬の寒さと、家の中のぬくもりが対になって描かれ、ページをめくるうちに、気持ちもゆっくりしてきます。
子どもと一緒に、同じ時間を味わうように開ける一冊です。
まとめ
雪が舞う外の寒さと、家の中のあたたかさ。
その対比が、絵のすみずみまで丁寧に描かれている絵本です。
ページを開くたび、目に入るものは少しずつ違っていて、同じ場面でも、そのときの気持ちや年齢によって見え方が変わります。
言葉よりも絵が語り、静かな時間の中で、想像がゆっくり広がっていく。
子どもと並んでページをめくりながら、それぞれの感じ方を大切にしたくなる一冊です。


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