刺激が好きなのに、続けられない理由を考えてみた
新しいことを始めるのが好きで、やってみたいと思ったらすぐに挑戦したくなります。
けれど、しばらくすると続かなくなる。
「飽きっぽいのかな」と思うこともありますが、よく考えてみると、つまらなくなったからやめるのではなく、もっと楽しそうなものを見つけてしまうからでした。
自分の中での「つまんない」は、マイナスではなく、次へ進む合図。
そう思えるようになったのは、大人になってからかもしれません。
子どもの「つまんない」に、大人はどう向き合ってきただろう
子どもが「つまんない」と言ったとき、「じゃあ何かしよう」「何がしたいの?」と、すぐに別の言葉を返してしまうことがあります。
でも思い返すと、私自身の「つまんない時間」には、いつも少しの余白がありました。
ぼーっとしたり、同じことを繰り返したり、特に意味のない時間。
その中から、次の遊びや発想、動きが生まれていた気がします。
子どもにとっての「つまんない」も、もしかしたら、何かが始まる前の静かな場所なのかもしれません。
「つまんない」を、面白がってみるということ
ヨシタケシンスケさんの絵本を開くと、どんな感情にも、ちゃんと居場所をつくってくれる人だなと感じます。
この絵本では、「つまんない」という気持ちを追い払うのではなく、眺めたり、裏返したり、少し距離をとって見てみたりします。
読んでいるうちに、子どもだけでなく、大人の方が「なるほど」と立ち止まってしまう。
そんな瞬間が、ページのあちこちにあります。
絵本紹介
『つまんない つまんない』
作・絵:ヨシタケシンスケ
出版社:白泉社
『つまんない つまんない』は、「つまんない」という感情を、そのまま抱えたまま読んでいける絵本です。
主人公の少年は、「つまんない」を追いかけるように、考えたり、想像したり、脱線したりしながら進んでいきます。
ページには、説明しすぎない言葉と、考えすぎない絵。
その間にある余白が、読み手それぞれの経験を呼び起こします。
読み終えたとき、答えは用意されていません。
けれど、「つまんないって、こういうことかもしれないね」と、静かに共有できる空気が残ります。
おすすめの理由
「つまんない」を、そのまま置いておける絵本
この絵本は、子どもの「つまんない」という気持ちを、直したり、前向きに変えたりしなくてもいいと伝えてくれます。否定されないその感覚が、読み合いの時間に安心感を生みます。
大人が先に、立ち止まれる
「どう声をかけるか」「どう遊びに変えるか」ではなく、「自分もこんなふうに感じていたな」と思い出させてくれます。大人が先に立ち止まれることで、子どもと同じ場所に腰を下ろせる絵本です。
受け取り方が、その日その子で変わる
年齢や気分によって、心に引っかかる場面は違います。だからこそ、同じ本を何度開いても、毎回ちがう読み合いの時間が生まれます。
「何もしない時間」を、物語として肯定してくれる
遊びと遊びのあいだにある、何も起きていない時間。その静けさが、絵本の中ではちゃんと居場所を持っています。言葉が止まる場面や、ページを見つめる沈黙も、物語のつづきです。
読み終えたあとも、急がなくていい余韻
本を閉じたあと、すぐ次の遊びが始まらなくても大丈夫。「つまんない」が残した空気の中で、次の何かが芽を出すのを待つ時間まで、読み合いの一部として味わえる一冊です。
まとめ
『つまんない つまんない』は、子どもの「つまんない」を変えようとしない絵本です。
その気持ちがそこにあることを、そっと置いておける時間をくれます。
楽しく読もうとしなくてもいいし、前向きな言葉に言い換えなくてもいい。
同じページを眺め、同じ空気の中にいるだけで、いつのまにか心が少し動いていることに気づきます。
読み終えたあとに残るのは、「つまんないも、悪くないね」という静かな感覚。
子どもと大人が、同じ高さで味わえる余韻のある一冊です。


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