娘と夢中になった、絵の中の小さな宝物
『バムとケロのおかいもの』は、鳥取に住んでいた頃、娘の幼稚園で「かわいいね」と話題になっていた一冊でした。娘と一緒にページを開いた瞬間の、胸の奥がふっと温かくなるような気持ちは、今でもはっきり覚えています。
ページのすみずみにまで小さな物語が散りばめられていて、「ここにもあった!」「あ、見つけた!」という声が自然に重なり、親子で絵本の世界に入り込んでいくようでした。
絵本を“読む”というよりも、ひとつの街を散歩しながら、色んな場所をのぞき込んで歩くような感覚。ページをめくるたびに新しい発見があり、そのたびに笑顔が生まれ、親子で共有する時間がどんどん深まっていきました。
ケロちゃんの「ほしい!」に共感する時間
ケロちゃんの仕草や表情はどれも愛らしく、気づけば娘より私が先に夢中になっている瞬間もありました。細かいしぐさひとつまで丁寧に描かれていて、「かわいい」という言葉だけでは足りないほど魅力が詰まっています。
おかいものの場面では、「あれもほしい」「これも気になる」というケロちゃんの素直な気持ちがあふれていて、その無邪気さに子どもも大人もつい笑ってしまうはず。
買い物に行くと、気づけば予定外のものがカゴに入っている……そんな日常の小さな“あるある”に重なって、読みながら心がほどけていきます。
共感のポイントがたくさんあるからこそ、読み合いながら自然に表情がゆるみ、親子で気持ちが通い合うあたたかい時間が広がっていくのだと思います。
◆ 小さな気づきが「子育てのヒント」になる
この絵本の魅力は、かわいらしい世界観だけではありません。細かく描き込まれた絵の中に、子どもが感じ取る「好き」や「心が動く瞬間」があちこちに散らばっています。
「気になる」「ほしい」「かわいい」というまっすぐな気持ちを、そのまま肯定できる絵本なのです。
読み合いの中で、子どもはお気に入りのものを見つけたり、登場人物に気持ちを寄せたりしながら、世界を少しずつ広げていきます。
無理に質問したり、感想を求めたりしなくても、絵をながめる時間そのものが子どもの心をゆっくり育ててくれる。
大人がそのペースに寄り添うことで、忙しい毎日の中でも “子どもの見ている世界を一緒に味わう” という大切なひとときを取り戻せる気がします。
絵本が教えてくれるのは、特別なことをしなくても、親子の時間はこんなにも豊かになるということ。そのことをそっと思い出させてくれる一冊です。
絵本紹介
『バムとケロのおかいもの』
作・絵:島田ゆか/出版社:文溪堂
『バムとケロのおかいもの』は、島田ゆかさんが描く人気シリーズの中でも、細かな描き込みと遊び心がひときわ光る一冊です。週に一度の「おかいものの日」を迎えたバムとケロちゃん。朝の片づけから出発、買い物先での出来事、帰宅してからのひとときまで、一日の流れをたどるように物語が進んでいきます。
ページをめくるたびに目を奪われるのは、背景にまで緻密に描き込まれた世界。棚に並ぶ雑貨や食べ物、動き回る小さな動物たち、ケロちゃんの後ろ姿……どれも見逃したくないほど魅力的で、絵そのものが物語を豊かに語りかけてきます。
バムが手際よく準備を進める様子と、気になるものにすぐ心が向いてしまうケロちゃんの対比がかわいらしく、読み手の心をすぐに物語の中へ誘います。
買い物のシーンでは、ケロちゃんの「ほしい!」がまっすぐに描かれ、その素直さが読者の気持ちを温かくします。大人も子どもも「あぁ、そういう気持ち、あるよね」と思わず微笑んでしまうはず。ひとつひとつの場面が、読む人の生活とそっとつながり、自然な共感を呼び起こします。
また、この絵本は一度読んだだけでは味わいきれない奥行きを持っています。前のページに登場していた小物が別のシーンでさりげなく再登場したり、背景で起こっている小さな出来事が物語に影響していたりと、読み返すたびに新しい発見があります。
子どもはもちろん、大人にとっても「もう一度見たい」と思わせてくれる豊かさがあり、読み返すほどにこの世界への愛着が深まっていくでしょう。
親子でひとつのページを囲みながら、あちこちに散りばめられた物語を見つけていく。そんな読み方が自然に生まれる、大人も夢中になる魅力いっぱいの一冊です。
※Amazonの絵本は小型版です。ご確認ください。
おすすめの理由
絵のすみずみまで物語がひそんでいるから
ページの端々に小さな発見が散りばめられていて、読むたびに新しい楽しさに出会えます。絵本を「観察する喜び」が味わえる一冊です。
親子で一緒に笑える共感ポイントが豊富だから
ケロちゃんのおかいものシーンは、子どもも大人も「わかるよね」と笑い合える場面がたくさん。気持ちを重ねることで、自然と会話が生まれます。
子どもの“好き”をそのまま受けとめられるから
「かわいい」「気になる」「ほしい」という衝動に寄り添える物語で、子どもの感性や好奇心を肯定するきっかけになります。
大人も夢中になるほど世界観が細やかだから
ただかわいいだけではなく、しぐさや背景描写が生き生きとしていて、大人もページをめくる手が止まらない魅力があります。
読み返すたびに親子の思い出が積み重なるから
発見型の絵本なので、読むたびに「前は気づかなかったもの」に出会えます。その積み重ねが、親子の特別な読み合いの時間になります。
読み合いのヒント
絵の中の小さな物語を一緒に味わう
ページのすみずみに隠れている小さな出来事や描き込みは、この絵本の大きな魅力です。「こんなところにいたね」と発見を共有すると、絵本の世界が立体的に広がり、物語がより深く感じられる時間になります。
ケロちゃんの世界にゆっくり入り込む
ケロちゃんが夢中になっている様子や、表情の変化にそっと目を向けながら読むと、物語の流れがより自然に伝わってきます。説明をしなくても、子どもは自分のリズムで気持ちを重ねていき、親子の間に静かで穏やかな共有が生まれます。
同じページでも“毎回ちがう発見”を楽しむ
読むたびに目にとまるものが変わるのがこの絵本の魅力です。前回気づかなかった場所に新しい物語が見えてきたり、背景に描かれた小物が意味を持って見えてきたりします。読み返すほど楽しみが広がり、絵本が長く愛される一冊になっていきます。
まとめ
『バムとケロのおかいもの』は、かわいらしい世界観に満ちているだけでなく、親子の会話や笑顔を自然に引き出してくれる絵本です。
ページのすみずみにひそむ小さな物語や、ケロちゃんの素直な気持ちが、忙しい日々の中で忘れがちな「子どもの世界に寄り添うこと」を思い出させてくれます。
一緒に読み進める時間は、宝探しのようなわくわくに満ち、同時に子どもの感性をそっと育てる大切な瞬間にもつながります。
読むたびに新しい発見があり、親子の思い出が積み重なっていく。そんな豊かな読み合いを生み出す一冊です。
何気ない一日がやさしく彩られ、子どもとの時間が少し特別に感じられるようになる、そんなあたたかな絵本です。
『バムとケロのおかいもの』は、かわいらしい世界観に満ちているだけでなく、親子の会話や笑顔を自然に引き出してくれる絵本です。
ページのすみずみにひそむ小さな物語や、ケロちゃんの素直な気持ちが、忙しい日々の中で忘れがちな「子どもの世界に寄り添うこと」を思い出させてくれます。
一緒に読み進める時間は、宝探しのようなわくわくに満ち、同時に子どもの感性をそっと育てる大切な瞬間にもつながります。
読むたびに新しい発見があり、親子の思い出が積み重なっていく。そんな豊かな読み合いを生み出す一冊です。
何気ない一日がやさしく彩られ、子どもとの時間が少し特別に感じられるようになる、そんなあたたかな絵本です。
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