『きたかぜとたいよう』

絵を見ているだけで、心が落ち着く本だと思っていた

わたしは、バーナデット・ワッツの絵が好きです。
ページを開いて絵を見ると、気持ちが落ち着いていきます。

色のやわらかさや、空の広がり。
人物が風景の中にいる感じ。
見ているあいだ、心の中のざわつきが、少し遠のくような感覚があります。

気持ちをまとめなくてもいい本だと思い、手渡した

司書として図書室にいたとき、この絵本を小学生に手渡しました。
そのとき、「わたし、この画家の絵が好きなんだ」と伝えました。

同時に、この本は、気持ちをうまく言葉にできなくても、無理に整理しなくても、
そのままでいていい本かもしれない、そんな思いもありました。

何かをわからせたいわけではなく、読んだあとに答えを出してほしいわけでもなく、ただ、絵本のページをめくってもらえたらいい。
そんな気持ちで渡しました。

「絵がきれい」と言いながら、ページをめくっていた姿

その子はページを開くと、すぐに絵を見ました。
そして、「絵がきれい」と言いながら、1ページずつ、絵を確かめるようにめくっていました。

わたしは少し離れたところで、その姿を見ていました。
図書室で、ただ同じ空間にいながら、その時間を共有していました。

わたしは、その時間を邪魔したくありませんでした。

絵本紹介

イソップ童話
絵:バーナデット・ワッツ
訳:もき かずこ

きたかぜとたいようが、旅人の上着を脱がせられるのはどちらか、という話から始まります。
きたかぜは力いっぱい風を吹かせ、たいようはあたたかな光を注ぎます。
旅人は、それぞれの働きかけに応じて行動します。

物語は短く、出来事も多くありません。
文章は簡潔で、場面ごとに絵が添えられ、風景や人物の様子が丁寧に描かれています。

古くから語り継がれてきた物語を、バーナデット・ワッツの絵で静かに味わえる一冊です。

🌿 ご購入はこちらから
この収益は、施設への贈り物絵本として活用させていただきます。

おすすめの理由

絵を見て、心が静まる時間と出会えるから

バーナデット・ワッツの絵は、見ているだけで、気持ちが少し落ち着いていきます。
色のやわらかさや、空の広がり、人物が風景の中に立っている様子。

子どもたちにとって、「何かを考える」前に、「ただ見る」時間があることは、とても大切だと感じています。
この絵本は、絵の美しさと出会う時間を、自然にひらいてくれます。

勝ち負けだけではない見方に、出会えるから

このお話には、はっきりとした出来事の流れがあります。
けれど、それを「どちらが勝ったのか」という見方だけで終わらせなくてもいい。

小学生になると、比べたり、評価されたりする場面が増えていく時期です。
この絵本は、そうした見方とは少し違うところに、目を向けるきっかけを残してくれます。

お話の中にあるメッセージを、それぞれに感じられるから

この絵本は、「こう受け取ってほしい」とは語りません。
読み終えたあとに、ひとつの答えを出す必要もありません。

お話の中にあるものを、どう感じるかは、その子それぞれ。
同じ本でも、読むときによって、感じることが変わるかもしれません。

その余白ごと、子どもたちに手渡せる一冊だと思います。

まとめ

絵を見て、物語に触れて、それぞれの中で何かを感じる。
それだけで、十分な時間があると思います。

この絵本は、気持ちをまとめなくても、答えを出さなくても、ページをめくる中で、それぞれの受け取り方が生まれていく一冊です。

心が少しずつ揺れ動く時期に、そっと手に取ってもらえたらと思います。

🌿 ご購入はこちらから
この収益は、施設への贈り物絵本として活用させていただきます。

コメント