魔女からの手紙

手紙が届くよろこびを思い出した日

小学生の頃、雑誌の文通コーナーで見つけた北海道の同い年の女の子。会ったことも話したこともない相手に、学校の出来事や好きなものを一生懸命便箋に綴ってはポストに向かっていたあの日々は、今でも心の奥にあたたかく残っています。返事を待つそわそわした時間、封筒を開く瞬間の胸の高鳴り。手紙が届くというだけで、世界がひとまわり広くなったように感じました。

大人になるにつれてSNSの便利さが勝り、文字も以前より見えにくくなり、手紙を書く機会は少なくなりました。それでもどこかで、便箋の手触りやインクの香りを恋しく思い続けていたのだと思います。

絵本が呼び起こしてくれた“手紙の時間”

子どもたちとこの絵本を読むと、描かれた手紙の一つひとつを指さしながら「この字かわいいね」「この封筒すてき!」と、まるで宝物を見つけるようにページを楽しみました。

あらためて読み返してみると、かつて文通をしていた頃の “わくわくの時間” が自然によみがえってきます。ページを開くたびに胸がふわりと温かくなるのは、自分宛ての手紙をそっと開くような感覚がよみがえるからかもしれません。

“だれかを想う気持ち”をそっと思い出させてくれる瞬間

手紙を書くとき、人は自然に相手のことを思い浮かべています。
どんな言葉が届いたら嬉しいだろう。
この紙を選んだら喜んでくれるかな。
読んだ瞬間の表情はどんなだろう。

その“小さな想像の積み重ね”こそが、手紙の魅力であり、この絵本の世界にも美しく流れています。魔女から手紙を受け取る主人公のように、“誰かからの想い”には不思議と心を元気にする力がある。絵本を読みながら、そんな懐かしいときめきを思い出したのでした。

絵本紹介

『魔女からの手紙』

作:角野栄子
出版社:ポプラ社

『魔女からの手紙』は、ある日突然届いた“魔女からの手紙”をきっかけに、主人公の世界がやわらかく揺れ動いていく物語です。物語の中心にあるのは、手紙を通して届けられる魔女からの言葉と、その言葉によって少しずつ変わっていく心の動き。ページをめくるたび、手紙が持つ“相手の気持ちがそのまま届く力”が、静かに広がっていきます。

絵に描かれた手紙の一通一通がとても丁寧で、封筒の色、文字のにじみ、紙の質感まで伝わるような細やかさがあります。まるで本当に自分に届いた手紙の束をゆっくり開くような感覚を味わえます。魔女から届く手紙は決して派手ではなく、むしろ素朴で、日常の延長にそっと魔法を落としていくような佇まいです。

手紙を受け取る主人公の心の変化は、読み手にもそのまま重なります。
“誰かが自分のために言葉を綴ってくれた”という事実が、こんなにも人をあたたかくするのだと気づかされる絵本です。

読み終えたあと、自分もひとつ手紙を書きたくなる。
そんな余韻が長く残る、静かでやさしい物語です。

セレクトショップにおすすめの理由

空間に“物語の気配”を呼び込める

封筒・手紙・インクの描写が、棚に静かなストーリー性を与えます。
ただ置くだけで、お店の空間に“時間の流れるスピード”が変わるような余白が生まれます。

来店客が自然と足を止める“視線の引き寄せ”になる

開かれたページから伝わる懐かしさやあたたかさは、商品のための導線づくりにも効果的。
売り場の一角に置くだけで、視線がふっと引き寄せられます。

手紙モチーフは多くの雑貨と相性がよい

紙もの、文具、アクセサリー、焼き菓子など、どんなアイテムと並べても世界観が自然につながり、ディスプレイが整います。

季節のテーマ演出に使える

記念日・バレンタイン・母の日・周年イベントなど、「想いを届ける」シーズンにそっと寄り添い、棚に温度を添えてくれます。

ブランドの“やさしいトーン”を強める

手紙というモチーフそのものが、「丁寧さ」「誠実さ」「気持ちを届ける」という、多くのブランドが大切にする価値観と自然につながります。

まとめ

『魔女からの手紙』は、
商品を並べるだけでは生まれない“物語の気配”を空間に添えてくれる絵本です。
手紙の描写がとても丁寧で、ページを開いて置くだけで棚に静かな温度が宿ります。
お客様が足を止めるきっかけになり、雑貨や紙ものの世界観とも美しく調和します。
「誰かを想う」やわらかな空気が流れ、店舗全体の印象をやさしく整えてくれます。
季節のギフトコーナーや入口ディスプレイにも自然になじむ、空間演出に最適な一冊です。

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