『輝きの季節 ターシャ・テューダーと子どもたちの一年』

季節とともに生きる喜びを思い出した日

季節を誰かと“分かち合う”という習慣

保育園で働いていると、季節の行事を子どもたちと話し、いっしょに味わう時間が当たり前のようにありました。
風のにおいも、日の長さの変化も、落ち葉の色も、子どもたちと分かち合うことで、季節そのものが、自分の暮らしの中心に息づいていたのだと思います。

行事の準備をしたり、園庭で見つけた虫の話をしたり、雨の日には「今日はどんな空の匂いかな」と子どもたちと空を見上げる。そんな一つひとつが、私にとって大切な季節の記憶になっていました。

季節を分かち合えない寂しさに気づいた瞬間

独身の頃、一般企業で働いていた時期。
ある日ふと、季節を誰かと共有する相手がいないことに、ぽつりと小さな寂しさが胸に落ちました。

「あ、今日ってこんなにきれいな風だったんだ」と思っても、その瞬間を一緒に味わう相手がいない。
保育園で過ごしていたときの“季節を共に感じる時間”が、どれほど自分を支えていたのかに、その時ようやく気づいたのです。

誰かと分かち合うから季節は豊かになる。その当たり前を失って初めて、心に空白ができていることを知りました。

絵本が思い出させてくれた“季節を味わう心”

この絵本に出会った時に、その時のことが思い出されました。
ページを開いた瞬間、季節の光や風の気配がふわっと広がり、胸の奥の“季節の記憶”が静かにほどけていきました。

12か月それぞれに描かれた小さな世界は、人形や小物まで息づいているようで、まるで「あなたの一年も、大切に過ごしてね」と語りかけてくるようでした。

絵本を読み終えるころには、どんな季節にも必ず寄り添ってくれる誰かのように、この絵本の世界がそっと心をあたためていました。

絵本紹介

『輝きの季節 ターシャ・テューダーと子どもたちの一年』

文・絵:ターシャ・テューダー
訳:食野雅子
出版社:KADOKAWA
初版発行:1999年

この絵本には、季節のうつろいが静かに息づいています。
雪の朝の凛とした空気、春の土のにおい、夏の光のきらめき、秋の実りのぬくもり。
ターシャ・テューダーの一年は、“季節の中に身をゆだねて暮らす”という、どこか懐かしくあたたかな感覚に満ちています。

ページをめくると、家族の笑顔や行事を楽しむ子どもたち、動物たちの穏やかな表情が迎えてくれます。絵本というより、季節のアルバムをそっと開くような感覚。
その中にあるのは、派手さではなく、暮らしの小さな喜びが積み重なる“静かな豊かさ”です。

読み終えたあとには、まるで心の内側に季節の光がそっと灯るような余韻が残ります。
“そばに置いておきたい季節の本”として、大人にも子どもにも寄り添ってくれる、やさしい一冊です。

セレクトショップでおすすめしたい理由

季節アイテムと並べるだけで世界観が完成する

春夏秋冬の描写が豊かで、雑貨・器・布ものと自然に調和します。棚に並べるだけで“暮らしを提案するディスプレイ”が成立します。

“丁寧な時間”をテーマにした棚づくりと相性が良い

ターシャの世界観は、ゆっくりと季節を味わう豊かさが軸。忙しい大人の来店客にも響きやすく、店舗全体のトーンをやさしく整えます。

ギフト売り場と自然につながる世界観

季節の変わり目、引っ越し祝い、新生活など、「生活が変わる時期」に向けたギフト演出がしやすい絵本です。

雑貨・布もの・食品とのセット提案が可能

季節ごとのページと
・春の淡色食器
・夏のガラス
・秋の木製カトラリー
・冬の白いリネン
など、幅広くコーディネートできます。

大人が“自分のために買う”世界観の本として選ばれやすい

子ども向けではなく、インテリアブック・ライフスタイルブックとして大人の手に自然に届く一冊です。

まとめ

この絵本には、「季節を味わう喜び」と、「暮らしの中の小さな幸せ」をそっと灯す力があります。
ページを開くたびに、忘れていた季節の匂いや、誰かと同じ景色を眺める心地よさが、静かに胸へ戻ってきます。

セレクトショップでは、雑貨やテキスタイルと並べるだけで、“季節を楽しむ暮らし”を物語として伝えられる一冊です。
商品をただ置くだけでは生まれない、あたたかい時間の流れを棚に宿してくれる。そんな力を持っています。

忙しさの中で、季節を味わう余裕を忘れてしまいがちな大人にも、そっと立ち止まるきっかけを届けてくれるでしょう。
新しい生活を始める方への贈り物としても、店の世界観づくりとしても、やさしい余韻を長く残してくれる絵本です。

暮らしの四季を大切にしたいお客様に、そして「季節を感じる棚づくり」をしたい店舗に、
そっと寄り添ってくれる一冊です。

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