『おならまんざい』

笑って元気になる一冊に出会った日

若い頃の私は、よく漫才をして笑っていました。
関西で育ったこともあり、会話をするときには自然と“オチ”を意識して話していました。

どんなにくだらなくても、最後に笑いがあればそれでいい。
そんな空気が日常にありました。

家族や友人との会話も、いつのまにか漫才のようで、
「ボケてくれてありがとう」
「ツッコんでくれてありがとう」
と言いたくなるような温かく楽しい時間が流れていました。

よみがえった“あの感覚”

この絵本『おならまんざい』を初めて読んだとき、懐かしい笑いの感覚が一気によみがえりました。

ページを開くと、テンポのよい関西弁と絶妙な間合い。
気づけば、まるで昔のように一人でボケとツッコミを演じながら読んでいました。

「ここ、もっと間を取ったほうがいいな」
「この流れなら絶対ウケるはず」

そんなふうに考えながら、録音して練習していたほどです。
一人で声を出して笑いながら、心の底からうれしくなりました。
笑うということが、こんなにも自分に力をくれるのだと久しぶりに思い出しました。

笑いには、人を前向きにする力がある

漫才のような掛け合いを通して、この絵本は思い出させてくれます。
笑いは、人と人の距離を近づけます。
笑うと、心の中の曇りがいつの間にか晴れていきます。

高齢の方にこそ、この声を出して笑う時間をもう一度届けたいと感じました。


絵本紹介

『おならまんざい』

作・絵:長谷川義史
出版社:小学館

おならをテーマに「漫才」をするという大胆な設定ですが、読んでみると軽快なテンポと関西弁のリズムが心地よく、思わず声に出したくなる一冊です。長谷川義史さん特有の“人間味たっぷり”の絵は、登場人物の細かな表情やしぐさまで生き生きと描かれ、読者の心をつかんで離しません。

ページをめくるたびに、漫才の「間(ま)」や「ツッコミ」が絶妙に仕込まれており、読み手の声の出し方ひとつで面白さが増すような構成になっています。まるで自分が舞台に立っているような感覚で、読み手も参加できるのが魅力です。

また、子どもたちには「おなら」というだけで大ウケの題材なのに、大人が読むとどこか懐かしい“昭和の笑い”の雰囲気が漂います。長谷川さんが描く背景や色づかいには哀愁や温かさがあり、笑いながらも人間の優しさを感じられるのが特徴です。

高齢の方にとっては、関西弁の軽妙なやり取りが青春時代のテレビ番組や家族の団らんを思い出させ、読むだけで心がほぐれていくような感覚になるでしょう。単なるお笑い絵本ではなく、「笑うことの幸せ」を思い出させてくれる“心の元気薬”のような作品です。

高齢者ギフトとしておすすめする理由

一人でも声を出して笑える

ツッコミどころ満載の展開で、読み進めるだけで笑いがこぼれます。

漫才のリズムが懐かしさを呼び起こす

会話の間合いやテンポが、若い頃の思い出をふっと蘇らせます。

笑うことで心が軽くなる

落ち込んだ日でも、声を出して笑うと心がゆるみ、前向きな気持ちに。

会話が自然にひらく絵本

読み終えたあと、思い出話やだじゃれ合戦がはじまることも。

自分らしさを思い出せる

ツッコミを入れたくなる感覚が戻り、「まだまだいける」と感じられます。

贈り方のヒント

ユーモアを添えて贈る

・「たまにはお腹の底から笑ってね」
・「一緒に笑って若返りましょう!」
軽やかな一言を添えると、受け取る方の心がふっとほぐれます。

元気色のラッピング

・オレンジ・からし色・赤茶などの布や紙で包むと、見るだけで元気になれる印象になります。
・リボンは光沢のないマットな質感にすると、派手にならずに品よく仕上がります。

ひとりでも、ふたりでも笑える時間に

・この絵本は、一人で読んでも、掛け合いで読んでも楽しい一冊。
・ページをめくるたびに、自然と声が出て笑顔になります。
笑いは、いくつになっても心の栄養です。
大切な人と一緒にいかがですか。
または、静かな午後に自分へのご褒美として、どうぞお楽しみください。

まとめ

この絵本を読むと、笑うことが「生きる力」だと思えます。
声に出して笑う時間は、心の奥の曇りをそっと晴らしてくれます。

絵本の中のふたりの掛け合いは、まるで昔の友だちとの会話のようです。
ツッコミ合いながらも、相手を思いやる温かさがあります。

誰かと一緒に読んでも、一人で声に出して読んでも楽しいです。
笑いながら、「ああ、まだこんなに楽しいことがあるんだ」と思える。

そんな日常を明るく照らしてくれる一冊です。

高齢者への贈り物

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