“言えたはず”が言えなくなるおかしさと、また挑戦したくなる楽しさ
この絵本は、私が小学校で働いていた頃、おたよりで紹介した一冊です。
そのとき図書室では、子どもたちが競うようにして早口ことばを読み合い、笑い声が絶えませんでした。私も一緒に挑戦して、確かにその頃はすらすらと言えていたはずなのに・・・。今開いてみると、まったく口が回らなくなっていて驚きました。
でも、その「言えない!」がおもしろいのです。
お気に入りのチャウチャウのページだけは言えるようになりたくて、ついブツブツ練習してしまう。
“できそうでできない”という絶妙な距離感が、大人にとっても楽しい時間を生み出してくれます。
年齢を重ねたからこそ、できないことを笑い飛ばせたり、挑戦すること自体を楽しめたりする。
そんな前向きな気持ちを自然と呼び起こしてくれる絵本です。
読めば自然と笑顔になる、言葉あそびの「ゆるい体操」
早口ことばは、口・舌・息をいつもより少しだけ大きく動かします。
高齢者の方にとっては、無理なくできる“ゆるい体操”のようでもあり、声を出すきっかけにもなります。
しかも絵本の中にいる十二支たちが、なんともユーモラス。
ページをめくるだけで、
- ちょっと声に出してみたくなる
- 思わず笑ってしまう
- 失敗しても楽しい
そんな空気が広がります。
「読む」ことが目的ではなく、「一緒に笑う」「声を出す」「挑戦してみる」そのきっかけになるのが、この絵本の魅力です。
年末年始、家族が集まる場でも、施設でも、一人でも二人でも。
きっとその場がふわっと明るくなるはずです。
新しい一年を、笑って迎えるための一冊として
年末が近づくと、時間の流れが急に早く感じられます。
「今年もいろいろあったなあ」としみじみ思う気持ちの横で、「来年はどんな年になるだろう」
という静かな期待もふくらむ時期です。
この絵本は、そんな節目の季節にそっと寄り添ってくれます。
早口ことばというシンプルな遊びが、「まだまだ挑戦してみたい」「できなくても笑ってすごせる」
そんな気持ちを自然に思い出させてくれるからです。
大げさなメッセージはいりません。
ただページを開き、声に出してみるだけで、その場が少し明るくなり、心がゆるむ絵本。
高齢の方へのプレゼントとして、新しい年を笑顔で迎えるための小さな贈り物として、とてもおすすめの一冊です。
絵本紹介
『十二支のはやくちことばえほん』
作:高畠純
出版社:教育画劇
十二支の動物たちが、テンポよく、ユーモアたっぷりに登場する早口ことば絵本です。
ページを開くと、シンプルなのにクセになるリズムの言葉が並び、思わず声に出して読みたくなります。すらすら言えそうで言えない、その絶妙な“ひっかかり”が楽しく、読む人の心を一瞬でつかみます。
高畠純さんの絵は、大胆な線とやわらかなユーモアが特徴で、動物たちの表情やしぐさから“ことばのリズム”がちゃんと伝わってくるような不思議な魅力があります。
チャウチャウが登場するページのもふもふ感や、虎のきりりとした顔、うさぎの軽やかさ。それぞれが言葉とぴたりと重なり、ページをめくるほどに世界が広がっていきます。
早口ことばの難易度もさまざまで、簡単に言えるものから、大人でも思わず噛んでしまうものまで盛りだくさん。読むたびに「今日は言えるかな?」と、ちょっとした挑戦心がむくむくと湧いてきます。
声に出すと、口の筋肉が自然と動き、息づかいも整っていくため、声の体操のような心地よさがあります。それでいて“遊びながら楽しめる”ので、子どもはもちろん、大人や高齢者にとっても負担がありません。
干支をテーマにしているため親しみやすく、年末年始の季節に読むと、自然とその年の出来事を思い出したり、自分の干支の話題で盛り上がったりと、絵本をきっかけに会話が広がっていくのも魅力です。
笑いながら声に出せる“ことばの遊び絵本”。
世代を越えて一緒に楽しめる、明るく軽やかな一冊です。
高齢者ギフトとしておすすめする理由
声を出すきっかけになる“気軽なコミュニケーション絵本”
難しすぎず、それでいて簡単には言えない言葉遊びは、自然と笑顔を引き出し、家族やスタッフとのやり取りが増えるきっかけになります。
“読む”より“遊ぶ”感覚で楽しめるため、気持ちの負担がありません。
年代を問わず楽しめる“笑いの共有”ができる
子どもも大人も一緒に盛り上がれるので、離れて暮らす家族が訪ねる際のコミュニケーションにぴったり。
「みんなで一緒に言ってみよう」と自然に輪ができ、場があたたかくなります。
読み手のペースで挑戦でき、自己肯定感も育つ
うまく言えなくても、それが楽しい。
「できない」が「面白い」に変わる構造は、高齢者にとってもプレッシャーのない心地よさがあります。
声を出す・挑戦するきっかけを優しくつくってくれます。
十二支という“なじみ深いテーマ”が親しみを持ちやすい
干支は世代を超えて語れるテーマ。
昔話を思い出したり、自分の干支から話題が広がったりと、自然と対話が生まれる素材となります。
贈り方のヒント
絵本と一緒に添えられる、やさしい一言メッセージ
ちょっと笑ってほしいときに
「くすっと笑える時間を届けたくて、この絵本を選びました。」
元気づけたい相手へ
「気分転換にぴったりの一冊です。ひらいてみるだけで気持ちが軽くなります。」
会いに行けない家族へ
「今度会うとき、一緒に早口言葉に挑戦しましょうね。」
いつもありがとうを伝えたいとき
「あなたの毎日に、ちいさな楽しみが増えますように。」
読書が負担になりがちな方へ
「むずかしい説明はなく、絵を見るだけでも楽しめます。気軽にどうぞ。」
まとめ
『十二支のはやくちことばえほん』は、声に出すだけで笑顔になれる絵本です。
うまくできても、できなくても、どちらも楽しい。
その“気軽さ”が、高齢者の方への贈り物にとても向いています。
年末年始の小さな楽しみとして、家族との団らんの話題として、日々の暮らしにちょっとした笑いを添えてくれる一冊。
大げさなプレゼントではなく、“あなたと笑いたくて選びました”そんな気持ちをそっと運んでくれる絵本です。


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