『ペロのおしごと』

小さな犬がくれた、暮らしの変化

数年前、息子が友だちの家のトイプードルを預かってきたことがありました。
ふわふわで、つぶらな瞳でこちらを見上げてくる小さな存在。家に来たその瞬間から、空気がふわっと明るくなるのを感じました。子どもたちも大喜びで、まるで家族がひとり増えたような気分でした。

犬と暮らす時間が整えてくれたもの

短い期間でしたが、私たちは“その子が安心できる家”にしようと必死でした。落ちているものを食べないように床を磨き、散歩の時間を大切にし、声の掛け方ひとつまで丁寧になった気がします。暮らしが少しやわらぎ、部屋の隅々にまで気持ちを向けるようになったのは、この小さな犬のおかげでした。

絵本と出会ったとき、あの日の空気が蘇った

別れの朝には、思いがけないほどの寂しさが押し寄せ、家族全員が涙をこぼしました。
その余韻の中で『ペロのおしごと』に出会ったとき、あの日の空気が静かに胸の内によみがえりました。ページをめくるたび、犬がどんなふうに世界を見ているのかがやさしく伝わり、人と犬との距離がすっと近づいていく感覚がありました。

この絵本は、読む人の年齢を選ばず、犬と暮らす時間の尊さをそっと照らしてくれる一冊です。ペットショップの棚に置かれていたら、ふと手に取りたくなるでしょうし、開いた瞬間、犬を愛おしく思う気持ちがいっそう深まるはずです。
本として楽しめることはもちろん、空間にやわらかな温度を添えてくれる。そんな存在として、この絵本を世界観に分類しています。

絵本紹介

『ペロのおしごと』

作:樋勝朋巳
出版社:小学館

樋勝朋巳さんが描く『ペロのおしごと』は、犬の視点から世界を見つめるたのしさと温かさが、のびやかに広がっていく一冊です。ペロのまなざしにはどこかユーモラスなところがあり、人と犬との間に流れるやわらかな時間がそっと伝わってきます。ページをめくるたびに、犬という存在が日々の景色にどんな彩りを添えているのか、自然と感じられるような作品です。

「おしごと」という設定も新鮮で、犬が自分なりの役割を見つけながら世界と関わる様子が、読み手の想像をふわりと誘います。犬と暮らした経験のある人なら、言葉にしなくても“あの感じ”として心に浮かぶ温度があり、それが読後の余韻をより深いものにしてくれます。

子どもにとっては新鮮な発見があり、大人には少し胸の奥がやわらぐような深さがあり、犬好きにはたまらない共感があります。ページを閉じたあとも、ペロの見ていた世界の光や空気がそっと心に残る、そんな一冊です。

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おすすめの理由

子どもの目線に寄り添う、ペロの動き

走ったり、立ち止まったり、じっと見つめたり。ペロの一日の過ごし方は、子どもたちの動きや間とよく似ています。「わかる」「これ、ぼくもやる」と感じられる場面が自然に見つかり、物語の中に自分の時間を重ねやすい絵本です。

「おしごと」という言葉が、世界を広げる

ペロにとっての“おしごと”は、とてもささやかなものです。その設定が、子どもたちが日々している行動や気づきにも、そっと光を当ててくれます。特別なことをしなくても、自分の過ごし方そのものが大切なのだと、静かに伝わってきます。

一緒に過ごすように、時間が流れていく

急がずにページをめくることで、ペロが何を見て、どこで立ち止まっているのかが少しずつ見えてきます。出来事を追うというより、同じ時間を共有しているような感覚が、読み合いの中に生まれます。

絵が語る、ことばにならない気配

ふと目が合ったように感じる瞬間や、何も起こらないようで意味のある間があります。言葉にしなくても、ペロのしぐさや視線が多くを伝えてくれるため、声に出さない時間も自然に絵本の一部になります。

読み終えても、世界がつづいていく余韻

本を閉じたあとも、ペロの一日は終わりません。その余韻が、身のまわりの人や生きものを見る目を、少しやさしくしてくれます。読み合いの時間が、そのまま日常へと静かにつながっていくところも、この絵本の魅力です。

まとめ

『ペロのおしごと』を読み合っていると、ふっと笑いがこぼれたり、胸の奥があたたかくなる瞬間が訪れます。

ペロのしぐさや視線に、「あるある」「こんな顔するよね」と、自然に重なる思い出が浮かぶこともあると思います。
特に犬と暮らした経験のある人には、言葉にしなくても通じる感覚が、そっと広がるはず。

同じページを見ながら、愛おしさや笑いを分け合う時間。
その空気ごと、手渡したくなる一冊です。

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