すっぱい顔にこぼれた、小さな幸せ
昨日、大好きな友人ママさんから、娘さんがお昼ごはんを食べている動画が届きました。ひと口トマトを口に入れた瞬間、思いきり「すっぱーい!」という表情になって体を震わせて、でもそのあとまた口を開けて食べる。その一連の姿がなんとも愛おしく、動画を見ながら思わずこちらまで口元がゆるんでしまいました。子どもが食べ物と出会う瞬間って、こんなにも豊かで、こんなにもドラマがあるのだと、改めて気づかせてもらった時間でした。「すっぱいね」と気持ちに共感して声をかけているママさんのこと、素敵だなと思いました。
表紙の女の子と目が合った、あの日のこと
その動画を見たとき、わたしの頭にぱっと浮かんだのが『もぐもぐ がじがじ』でした。この絵本の表紙の女の子と初めて書店で目が合ったときのことを、今でもはっきり覚えています。まだコロナ禍で、保育中はずっとマスクをつけていた頃。子どもたちに給食の時間の「もぐもぐ」をどう伝えようかと悩んでいた時期でした。口の動きを見せたくても見せられず、言葉だけでは伝わりにくい。そんなもどかしさのなかで、この絵本の表情ゆたかな子どもたちが、まるで「だいじょうぶだよ」と語りかけてくれるように目に飛び込んできたのです。
「食べる」という営みが教えてくれる、しあわせのかたち
絵本の中の子どもたちは、どのページでも本当にうれしそうに食べています。ほっぺたをぷくっとふくらませたり、目を細めたり、ときには思いきり笑ったり…そのひとつひとつの表情が、食べることの楽しさをまっすぐに伝えてくれるのです。「あぁ、食べるってこんなに気持ちのよい時間なんだ」と、読んでいる側までじんわり温かくなるほど。この絵本に出会ったとき、私は「これだ!」と思いました。子どもたちと一緒に「おいしいって、こういう気持ちだよね」と分かち合える、それが絵本ならではの魔法だと感じたのです。昨日届いた動画と重なり合うように、子どもが食べるしぐさの尊さを、改めて胸に刻んだのでした。
絵本紹介
『もぐもぐ がじがじ』は、子どもが「食べる」という営みをうれしさそのままに描いた絵本です。登場する子どもたちは、口を大きく開けたり、ほっぺをふくらませたり、どの表情も生き生きとしていて、見ているだけでこちらまで楽しくなってしまうほどです。細やかな描線と、やわらかな色づかいによって、子どもたちの「もぐもぐ」が自然と伝わってくるのがこの絵本の魅力です。
また、描かれているのは特別な食事ではなく、日常のなかで出会うごく身近な食べものばかり。だからこそ、小さな子どもたちが実際に見て触れてきた体験とすぐにつながり、絵本をめくるたびに「これ知ってる!」という発見が生まれます。ストーリーで導くというより、子どもの表情やしぐさから自然に「おいしい気持ち」を感じ取れるつくりになっているため、読み聞かせでも一人読みでも楽しめる作品です。
食べるという行為が持つあたたかさや安心感を、難しい言葉を使わずにまっすぐに伝えてくれる一冊だと思います。
おすすめの理由
食べるよろこびが、絵からまっすぐ伝わってくる
この絵本のいちばんの魅力は、子どもたちの表情そのものが「おいしい気持ち」を語っているところです。言葉で説明しなくても、絵を見ているだけで、食べるよろこびが自然と伝わってきます。
日常の体験とすっと重なる身近さ
登場する食べものは、子どもたちが普段から親しんでいるものばかりです。「これ食べたことある」という小さな共感が、読み合いの中で自然に生まれ、絵本の世界と自分の経験がやさしくつながります。
食べるしぐさが、ていねいに描かれている
もぐもぐ、がじがじ、ぱくっ。口の動きや表情が細やかに描かれているため、食べるイメージがとてもつかみやすい絵本です。ことばだけでは伝えきれない部分を、絵がしっかり補ってくれます。
乳幼児と読み合いやすい、心地よいテンポ
文字数が多すぎず、ページをめくるごとに表情が変わる構成なので、小さな子どもでも最後まで集中しやすくなっています。一枚の絵から、自然とやりとりが生まれる読み合いの時間がつくれます。
食べる時間を、うれしい時間へつなげてくれる
「おいしそう」「食べてみたい」という気持ちが、絵本を通してやさしく広がっていきます。読み終えたあと、食事に向かう気持ちが少し明るくなる、そんな余韻を残してくれる一冊です。
まとめ
食べるという営みは、子どもの日常のなかでいちばん身近で、いちばん豊かな体験のひとつです。
『もぐもぐ がじがじ』は、その瞬間に宿る小さな喜びを、表情としぐさを通してまっすぐに描き出しています。
言葉に頼らず、絵そのものから伝わる「おいしい気持ち」が、子どもたちの心に自然と届きます。
読みながら、子どもと同じリズムでページをめくる時間そのものが、しあわせなひとときになります。
乳幼児と読むときにも無理がなく、日常の食べる時間とも心地よくつながります。
初めての味に出会う瞬間のときめきを、そっと思い出させてくれるような絵本です。
食事が少し苦手な子にも、安心して手渡せるやさしさがあります。
大人にとっても、ふと立ち止まり「食べるっていいな」と感じられる一冊です。
子どもの世界と大人の世界がやわらかく重なる、そんな時間をつくってくれます。
今日の一冊が、明日の「おいしい」につながっていきますように。


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