『はんぶんライオン』

できているように、振る舞ってきた時間

いつも全力で向き合おうとする癖があります。
足りないところがあっても、できる側に立とうとしてしまう。
気づけば、少し無理をしていることもあります。

力の配分を、探している途中

ほどよく力を抜く、ということが、思っている以上にむずかしいと感じます。
がんばることは自然でも、力をゆるめるタイミングは、まだ手探りのまま。
今も、自分なりのバランスを探しています。

外から見た姿に、救われること

誰かの揺らぎや足りなさを見たとき、それがその人らしさとして、自然に映ることがあります。
補い合いながら成り立っている場面に出会うと、完璧でなくても、ちゃんと進んでいるのだと感じます。
そんな視点を、自分にも向けられたらと思うことがあります。

絵本紹介

『はんぶんライオン』

文:大原悦子
絵:猫野ぺすか
出版社:福音館書店

長く続けてきた仕事を終え、ぬいぐるみ職人のおじいさんは、店をたたむことにします。
子どもたちが次々にぬいぐるみを連れていく中で、最後まで残ったのは、たてがみが片側だけのライオンでした。

おじいさんは、そのライオンを家に連れて帰り、窓辺に、ほかのぬいぐるみたちと並べます。
そこには、ウマやオンドリ、ネコがいて、それぞれが自分の姿や得意なことを、当たり前のように持っています。

たてがみの足りなさをからかわれながら、ライオンはいくつもの「別の姿」を教えられます。
けれどライオンは、ほかの何かになる道を選びません。

その代わりに、それぞれの得意なことを、ひとつずつ受け取っていきます。
走ること、鳴くこと、身をかわすこと。
体を変えずに、できることだけが増えていきます。

夜、家に忍び込んできた影を前に、窓辺で教わったことが、静かにつながります。
たてがみは片側のまま。
それでも、追い出す力は、確かにそこにありました。

おすすめの理由

半分だからこそ、できることがある

すべてがそろっていない姿は、最初から完成された役割を持っていません。
だからこそ、その場その場で関わり方が生まれます。
半分であることが、不利ではなく、動きを生むきっかけとして描かれているところに、この絵本ならではのやさしさがあります。

半分を受け入れることで、自分を楽にできる

足りなさを隠したり、埋めたりしなくても、そのままの姿が物語の中に置かれています。
半分のままでいていい、という感覚は、無意識に力を入れてきた大人の心を、静かにゆるめてくれます。

半分のまま、先へ続いていく

すべてが決まりきっていない状態だからこそ、この先の時間が閉じられていません。
半分であることは、終わりではなく途中。
これから何が起こるかは、まだ残されています。
その開かれた感じが、未来に向けた希望として、そっと残ります。

まとめ

半分であることを、埋めようとしない物語です。
足りなさをそのままに、並び、時間を過ごし、できることを少しずつ見つけていく姿が描かれています。

全部そろっていなくても、ここにいていい。
今が途中でも、先は閉じていない。
そんな感覚を、言葉ではなく、ページの中の景色としてそっと手渡してくれる一冊です。

自分に厳しくなりすぎたときや、力を入れすぎていることに気づいたときに。
半分のままで進んでいく物語に、静かな希望を重ねながら、ページをめくってみてください。

動物思春期~大人へ暮らし

コメント