『でんしゃがゴットン』

思わず体が前に出る、はじまりの時間

保育園でこの絵本を開くと、乗り物が好きな子どもたちは自然と体を前に乗り出しました。
「でんしゃがゴットン」という言葉の響きだけで、もう物語の中に入り込んでいるようでした。
ページをめくる前から、期待とわくわくが静かに伝わってきます。

「あっ!」が重なる、見ることを楽しむひととき

電車の絵が現れると、
「あっ、でんしゃ」
「あっ、くるま」
と、思わず声がこぼれます。
教えられたわけでも、問いかけられたわけでもなく、見えたものをそのまま受け取った気持ちが、自然に言葉になっていました。
子どもたちは食い入るようにページを見つめ、電車が進むたびに目が輝いていきます。

余韻が残る、やさしい到着点

かわいらしい絵とやさしい色づかいは、子どもたちを安心させ、物語の世界にそっと招き入れてくれます。
電車には誰が乗っていたのか、そして着いた先はどこだったのか。
答えを急がなくても、読み終えたあとの静かな表情が、この絵本の時間を物語っていました。
一緒に見て、同じ景色を味わった。そんな感覚が残る読み合いの時間でした。

絵本紹介

『でんしゃがゴットン』

作:冬野いちこ
出版社:岩崎書店

『でんしゃがゴットン』は、物語を追いかける絵本というより、ページをめくる時間そのものを味わうための一冊です。

描かれているのは、はっきりとした形の電車と、やさしく整えられた世界。
線は親しみやすく、色はやわらかく、どのページにも余白があります。
情報が多すぎないからこそ、見る側の目線が迷いません。

物語を追わなくても、意味が分からなくても、ページの中には、ちゃんと流れがあります。
電車が進み、音がくり返され、時間が静かに前へ運ばれていく。

大人と子どもが、同じ方向を見て、同じページの中にいる。
そんな感覚が、自然に生まれる絵本です。

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おすすめの理由

音と動きだけで、時間が進んでいく

電車が進み、音がくり返され、ページがめくられる。
その流れだけで、絵本の時間が自然に続いていきます。
0・1歳にとってちょうどいい速さで、場の空気を整えてくれます。

絵がやさしく、視線が迷わない

線がはっきりしていて、色づかいもやわらい感じ。
ページの中に情報が詰め込まれていないので、子どもの目が自然と一つの場所に向かいます。
静かに見つめる時間が、無理なく生まれます。

「見る」ことそのものを楽しめる構成

何かを理解しなくても、何かに気づかなくても、ただ電車を追っていくだけで成立する世界。
乳児の「見ている時間」を、そのまま受けとめてくれる絵本です。

読み手も、同じリズムに入っていける

子どもと並んで、同じ音、同じ動きを感じながら、静かにページをめくる時間がつくれます。

まとめ

『でんしゃがゴットン』をひらくと、ページの中を、電車が静かに進んでいきます。

大人も子どもも、その流れを目で追いながら、次のページを待つ。

ゴットントン、という音とともに、電車はちゃんと行き先にたどり着いて、絵本の時間が、静かにおさまります。

はじめての読み合いの一冊として、そばに置いておきたい絵本です。

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