『これが鳥獣戯画でござる』

小学生のころに触れたはずなのに、輪郭だけが残っていた

学校で見た記憶はある。けれど、どんな内容だったかまでは覚えていない。
それでも、あの動きのある線や、動物たちの気配だけは、どこかに残っていて、街中で目にすると「ああ、あれだ」と心の中で反応する。思い出そうとして思い出すのではなく、記憶のほうが先に立ち上がってくる。そんな残り方をしていました。

10年前、友人の娘さんの絵を見たときのこと

友人の娘さんが、その絵を描いているのを見たことがあります。
動きのある線で描かれたその様子が印象に残り、この絵が、世代を越えて人の中に残っているのだと感じました。
子どものころに触れたはずのものが、別の時間、別のかたちで、目の前に現れた出来事でした。

絵巻物の流れの中に、身を置く時間になった

絵本を開くと、動物たちが歩き、走り、追いかけ合い、場面が次々につながっていきます。
文を追いながら絵を見るうちに、一枚一枚を切り取って見るというより、流れとして絵をたどっている感覚が強くなっていきました。

読み終わるころには、物語を外から見ていたというより、その絵巻物の流れの中に、しばらく身を置いていたような感覚が残りました。
記憶の片隅にあった絵が、一本の流れとして、今の時間につながった。
そんな読み終わり方でした。

絵本紹介

『これが鳥獣戯画でござる』

校正・文:結城 昌子
出版社:小学館

この絵本は、国宝《鳥獣人物戯画》の甲巻をもとに、動物たちの動きと、その連なりを追うように構成されています。
うさぎやかえる、さるたちは、歩き、走り、集まり、離れ、場面から場面へと途切れることなく現れます。

物語としての起承転結はなく、一枚一枚の絵が、前後の場面とつながりながら進んでいきます。
ページをめくるごとに、動物たちの動きが少しずつ変わり、絵巻物をたどっている感覚が自然と生まれます。

添えられている文章は、絵の流れに寄り添うように配置され、場面の動きを静かに受け取る手助けをします。
文字は大きく、視線を絵と文のあいだで行き来させながら、無理なく読み進められるつくりです。

最後まで読み終えると、ひとつひとつの場面よりも、動物たちが行き交った流れそのものが、まとまりとして心に残ります。
絵巻物を、最初から最後まで手元でたどったような一冊です。

🌿 ご購入はこちらから
この収益は、施設への贈り物絵本として活用させていただきます。

おすすめの理由

懐かしさと、絵を見る楽しさが自然に広がる

ページを開くと、見覚えのある線や動きが目に入ってきます。
動物たちのしぐさや流れを追っているうちに、視線がゆっくり動き、気持ちも少しずつほどけていく。
動物たちのしぐさや流れを追っているうちに、絵を眺める時間そのものが広がり、心が和んでいきます。

「ござる」のやさしい響きが、読む気持ちを連れてくる

添えられている言葉は、短く、やわらかい。
文字が大きく、目に入りやすく、声に出しても耳に残ります。
とくに「ござる」という言い回しは、どこか懐かしく、親しみがあり、ページをめくる調子を整えてくれます。
自分のペースで読み進められるところが、この絵本の心地よさです。

遊び、笑う姿が描かれてきた時間が、今につながっている

平安時代の終わりごろ、不安の多い時代の中で、人々は遊び、笑う姿を絵に残しました。
その動きや可笑しさが、いまも絵巻物として伝わり、この一冊の中で続いています。
絵を追っている時間そのものが、日々の暮らしの中に、やわらかな余白をつくってくれる
その感覚を手渡せるところが、高齢者に贈りたくなる理由です。

贈り方のヒント

ほっと笑える時間を届けたくて

「動物たちの姿に、思わず顔がゆるむ場面があります。」

懐かしさをそっと添えたいときに

「どこかで見たことのある絵が、また続いています。」

言葉のやさしさも一緒に

「『ござる』の言い回しが、やわらかく寄り添います。」

気持ちを軽くしたい日の贈り物に

「遊びながら笑う姿が、ページの中を行き交います。」

今日の時間を、少し和らげたくて

「絵を追っているうちに、心がゆるむ一冊です。」

まとめ

どこかで見たことのある絵なのに、開くたび、動きが新しく続いていきます。
動物たちは遊び、転び、また進み、その姿に、ふっと笑みがこぼれる。
やさしい言葉が添えられていて、ページをめくる調子も心地いい。
にぎやかさの中に、落ち着きがあり、今日の時間にそっと置いておきたくなる一冊です。

🌿 ご購入はこちらから
この収益は、施設への贈り物絵本として活用させていただきます。
トップで絵本を探す
動物笑い高齢者への贈り物

コメント