祈りは、遠い世界の話ではありませんでした
この絵本に登場する国々は、紛争や貧困のただ中にあります。
けれどそれは、決して遠い出来事ではありません。
ニュースに触れるたび、胸が痛みます。
目をそらしたくないと思いながら、何もできない自分も感じます。
祈る人々の姿は、私の中にいつもあった問いと重なりました。
祈りのかたちは違っても、願いは同じに見えました
国も文化も違います。
祈り方も、それぞれ異なります。
けれど、そのまなざしには共通するものがありました。
守りたいもの。
失いたくないもの。
平穏な日々への切実な願い。
祈りは、争いよりも深いところで人と人を結んでいるのだと感じました。
問われていたのは、世界ではなく私でした
「なぜ紛争は止まらないのか」と考えるだけでは、何も変わりません。
その問いを、外に向けるだけで終わらせていないかと気づきました。
祈る人々の姿を見つめながら、まず自分に何ができるのかを考えられるようになりたいと思いました。
祈りは、誰かを変えるためのものではなく、自分の在り方を静かに整える時間なのかもしれません。
絵本紹介
『いのる』
作:長倉洋海
出版社:アリス館
『いのる』は、写真家・長倉洋海さんが世界各地で出会った人々の「祈りの姿」を収めた写真絵本です。
アジアや中東、アフリカなど、紛争や困難の中にある地域も含め、さまざまな国で生きる人々が登場します。宗教も文化も異なりますが、子どもも大人も、それぞれの場所で祈っています。
手を合わせる人。
額を地につける人。
空を見上げる人。
静かに目を閉じる人。
この絵本は、「祈る」という行為そのものを、さまざまなかたちで見せていきます。
異なる文化や宗教のもとで生きる人々が、それぞれの方法で祈る姿を並べることで、祈りが特定の宗教に限られたものではなく、人間に共通する営みであることが、静かに伝わってきます。
そしてこの絵本の祈りには、「今ここ」だけでなく、時間を越える感覚も混じります。亡くなった人を想う祈りや、過去とつながろうとする祈りが、写真と言葉の余白の中に息づいています
読むというより、ページごとに立ち止まり、祈る人のまなざしと向き合う一冊です。
おすすめの理由
平和を“出来事”ではなく“人の営み”として考えられるから
平和という言葉は、条約や戦争の終結といった大きな出来事と結びつきがちです。
けれどこの絵本は、もっと小さな単位を見せてくれます。
祈るという行為は、誰かを思い、守りたいと願う心の動きです。
それは国家規模の話ではなく、一人の人間の営みです。
平和を遠い構造の問題ではなく、「人が人を思う姿勢」として捉え直せるところに、この本の魅力があります。
祈りがある社会の“あたたかさ”を感じられるから
祈りは、必ずしも解決をもたらすわけではありません。
それでも人は祈ります。
それは、困難の中でも「あなたを思っている」と伝える方法の一つだからです。
この絵本を読んでいると、世界のどこかで誰かが誰かのために祈っているという事実そのものに、
人間社会の底力のようなものを感じます。
祈られている世界は、無関心な世界とは違います。
そこに、希望の手触りがあります。
異文化の祈りを通して、自分の価値観を揺らしてくれるから
祈りのかたちは、国ごとに異なります。
姿勢も、場も、空気も違います。
けれど違いを目にするからこそ、自分が「当たり前」と思っているものが浮かび上がります。
世界を知ることは、自分の輪郭を知ることでもあります。
この絵本は、他者を理解するためだけでなく、自分を問い直すための鏡にもなります。
まとめ
世界のさまざまな場所で、人は祈っています。
形は違っても、願う心の重さは似ています。
平和を語ることはできても、平和を生きることは簡単ではありません。
けれど、祈るという行為の中には、誰かを思い、自分を省みる時間があります。
遠い国の写真を見つめながら、私は問いを受け取りました。
大きな出来事を変える力はなくても、今日の自分の在り方は選べるのではないかと。
静かな祈りの姿は、その問いを、今も胸の中に残しています。
🤍 この絵本について、ひとこと
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「誰かに贈りたくなりました」など、
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