ページをめくるたび、思わず声がこぼれる
この絵本は、どのページにも赤い花が描かれています。
最初の一枚を開いたときよりも、次のページ、また次のページへと進むごとに、赤の存在感が心に残っていきました。
「きれいな花」「いい色」と、絵を前にした自然なひと言が、ぽつりとこぼれるような時間でした。
声に出さなくても、胸の奥で同じ言葉が響いているように感じます。
赤い色が、心と体を目覚めさせる
赤は、少し強い色のはずなのに、この絵本の赤はやさしく、あたたかく、見る人を包み込みます。
ページを眺めていると、気持ちが明るくなり、自然と背筋が伸びるような感覚がありました。
長い説明はなく、花の名前と短い言葉だけ。
だからこそ、絵の色やかたちが、まっすぐ心に届きます。
刺激が強すぎず、それでいて、確かに心を動かしてくれる一冊です。
自分の記憶の中の花と、静かに重ねる
この絵本を見ていると、「あの花に似ている」「昔、庭にあった花は…」と、それぞれの中にある花の記憶が、そっと呼び起こされるように感じました。
名前を知っている花でも、知らない花でもかまいません。
大切なのは、絵を見つめながら、自分の好きな花や、思い出の景色に重ねる時間です。
言葉を交わさなくても、静かに心が動いている。
そんな時間を贈れる絵本だと思います。
絵本紹介
『あかいはな さいた』
文・絵:タク ヘジョン
訳:かみゃ にじ
出版社:岩波書店
白い背景いっぱいに、赤い花が静かに咲き広がる表紙。
花は同じ色でありながら、茎の伸び方や向き、間の取り方に違いがあり、画面全体にやわらかなリズムが生まれています。
一輪を際立たせるのではなく、群れとして咲く姿を描くことで、絵本全体の世界観が最初の一枚に凝縮されています。
本文も同様に、構成はとてもシンプルです。
花の名前と、短い言葉だけが添えられ、説明や物語は前に出てきません。
そのため、読み進めるというより、ページを並べて眺めるような感覚で受け取ることができます。
色と余白、繰り返しの構図によって、「赤い花が咲いている」という事実そのものが、静かに積み重なっていく一冊です。
言葉よりも先に、視覚の印象が残る絵本として、手に取る人の時間に寄り添います。
おすすめの理由
赤い花が、一つずつ現れるところ
この絵本では、ページをめくるたびに、赤い花が現れます。
同じ赤でも、花のかたちも、茎の伸び方も、置かれ方も違う。
似ているようで、同じではありません。
一度に並べて見せるのではなく、一つずつ、順番に差し出されていく。
その並び方が、花屋のディスプレイで、花を一輪ずつ紹介するときの感覚と重なります。
花の名前と、赤が残るところ
書かれているのは、花の名前と、短い言葉だけです。
説明はなく、背景も白いまま。
だから、ページを閉じたあとに残るのは、花の形と、赤の印象。
名前を見て、花を見て、また次の花へ進む。
その繰り返しが、赤という色の中にある違いを、自然に目に残します。
花の横に置いたとき、同じ調子になるところ
花の横に置くと、本もまた、一輪ずつ並ぶ花の延長にあるように見えてきます。
花を見て、本を見て、また花を見る。
ディスプレイの中で、「本」だけが別の役割を背負わず、花と同じ並び方で、そこに置ける。
その点で、この絵本は、とても相性がいい。
まとめ
白い空間に、赤い花のページがそっと置かれている。
それだけで、花の並びが少し違って見えることがあります。
花に詳しくなくても、色のことをうまく言葉にできなくても、ページを開いたときに残る赤の感じは、そのまま受け取ればいいのかもしれません。
花を主役にしたい日もあれば、色の気配だけ添えたい日もある。
この絵本は、どちらの日にも、無理なく置けそうです。
花のそばに、本を一冊。
赤い花の本を、赤い花のある場所に。
今日は、こんな置き方もあるけれど、いかがでしょうか。


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